資料東京税理士会の意見書・報告書

東京税理士会からの意見書・報告書です。

公認会計士法改正を受けて-税理士法第3条第1項第4号の削除に関する意見

(東京税理士会/平成16年3月号)

1/法改正の必要性

第156回国会において「公認会計士法の一部を改正する法律」が成立し、平成15年6月6日公布された。 これほど大規模な改正は、昭和23年制定以来であり、改正法は平成16年4月1日から施行され、これに伴い新公認会計士試験は平成18年から 実施される。
今般の改正は、米国におけるエンロン事件等の反省を踏まえた、いわゆる監査強化の流れを受けたものであり、 (1) 公認会計士の使命・職責の明確化、(2)公認会計士等の独立性の強化、(3)公認会計士等に対する監視・監督の充実・強化、 (4)公認会計士試験制度の見直し等が盛り込まれている。公認会計士の増員については、規制改革の流れを受け、 公認会計士監査の充実・強化を図るため、金融審議会公認会計士制度部会報告(平成14年12月17日)において、 「平成30年頃までに5万人」との具体的な目標数値を公表している。その方策として、法改正による試験制度改革と共に論議されているのが 会計専門職大学院による試験科目の一部免除であり、裾野を広げるという目的のため、現在構想されているところである。
東京税理士会では、公認会計士制度改革が我が国の重要な専門資格制度である税理士制度に与える影響について、 従来から問題点を指摘してきた。すなわち、一連の公認会計士制度改革の目的は、監査体制の充実を図るため、 監査を行う公認会計士の増員とその資質の向上であり、税理士業務を行う公認会計士を増員させるものではないということである。 そのためには日本税理士会連合会が中心となり、現行税理士法において公認会計士に無条件で税理士となる資格を付与する税理士法 第3条第1 項第4号を削除することに向けて、税理士界を挙げて積極的に運動すべきである。

2/両資格の制度上の立場

今般の公認会計士法の改正で重要なことは、公認会計士の使命が法令上明確となった点である。 公認会計士法第1条(公認会計士の使命)は、「公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、 財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、 もって国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする。」と規定した。なお、国会における「会社等の公正な事業活動」の文言に 関する議論において、公認会計士の立場は会社等に対して独立した第三者としての立場であることが明確にされた。 一方、税理士はその使命(税理士法第1条)として、納税義務の適正な実現を図るため、独立した公正な立場で租税法令を 遵守するのであるが、その業務は税務代理(同法第2条)に象徴されるように納税者の代理人たる業務であり、 公認会計士のそれとは根本的に異なるものである。
それゆえ、公認会計士法改正により公認会計士の使命が法令上規定されたことで、両資格に求められる立場が異なることが 更に明確になったといえよう。その意味で税理士法第3条第1項第4号を存置する法律上の合理性は全くなくなったといえる。
また、公認会計士を増員させる目的は先述したように監査体制の強化が目的であるはずであるが、税理士法第3条第1項第4号 を存続させることで、結果的に税理士業務を行うために税理士登録をする公認会計士が増員し、監査を行う公認会計士の 増員確保という基本政策を損なう危険性さえあると言わねばならない。その意味では、これは業際・職域といった業界間の問題 というよりも、我が国のx本政策が達成されるか否かの問題であると思料する。
したがって、税理士法第3条第1項第4号並びに第2項を削除し、第8条の試験科目の一部の免除等に公認会計士を規定して、 会計科目を免除することとし、公認会計士が、税理士となる資格を有するためには、税理士試験の税法科目の合格を条件とすべきである。