税理士のためのIT講座

税理士情報フォーラム2015開催報告(平成28年1月4日更新)

 平成27年10月13日(火)、本会情報システム委員会は「マイナンバーと情報セキュリティ」をテーマとして「税理士情報フォーラム 2015」を開催し、300名弱の方にお越しいただきました。
 当日は外部講師による講演やミニセミナー、『マイナンバー関連ソリューション展示会』と銘打った 全17企業による情報セキュリティサービスの展示等が行われ、活況を呈しました。
 ここでは、当日ご来場いただくことのできなかった皆様にもフォーラムの様子をご覧いただきたく、下記のとおり報告させていただきます。
 今年のフォーラムでは、平成28年1月からの運用開始が迫るマイナンバー法に備えて、事務所で保管する情報をどのように守るかについての講演、ミニセミナーを下記のとおり開催しました。

  • 基調講演『スマートフォンを取り巻く脅威とその対策』
     講師:独立行政婦人情報処理推進機構(IPA)
        情報本部セキュリティセンター 調査役 加賀谷 伸一郎 氏
  • 基調講演『企業を狙うサイバー犯罪等の現状と対策について』
     講師:警視庁生活安全部
        サイバー犯罪対策課 対策係主任 林 秀人 氏
  • ミニセミナー『マイナンバーのセキュリティ対策について』
     講師:本会情報システム委員会 菅沼 俊広 委員

 その他にも、「マイナンバー制度に関する情報セキュリティについてのQ&A」というイベントを企画し、マイナンバー制度の運用に関連して生じた情報セキュリティについての質問を事前に会報で募集し、本会情報システム委員会が回答・解説を行いました。

 また、会館地下会議室では「マイナンバー関連ソリューション展示会」を開催し、マイナンバー制度の運用開始に伴い必要となる税理士事務所における情報セキュリティに関して、 個人番号の保管等のサービス・商品を提供予定の各企業にご協力いただき、同商品・サービスの展示や説明、プレゼンテーションを行いました。
 当該展示会で行われた各企業によるプレゼンテーションの様子を映像化しましたので、事務所での情報管理システムを現在検討中の方はぜひご覧いただき、事務所に最適なセキュリティ対策を探していただければと思います。

<マイナンバー関連ソリューション展示会出展企業一覧(50音順)>

 今年も沢山の方に足をお運びいただき、誠にありがとうございました。
今後とも、本会情報システム委員会の活動へご理解・ご協力をいただきますようお願い致します。

税理士のためのスマートデバイス活用術(平成27年4月1日更新)

情報システム委員会委員 中臣 豊


昨今、世間ではスマートデバイス(スマートフォンやタブレットなどの端末)、そしてクラウドが流行っているようです。テレビCMでもクラウド会計ソフトの広告が出始めており、スマートデバイスとクラウド関連ソフトを利用していくことで、業務の効率化を推し進めることができるのでは?と考える方もいらっしゃるかと思います。そこで、今回はスマートデバイスの税理士事務所での活用方法を考えてみます。

1.スマートデバイスの種類

早速ですが、スマートフォン(スマホ)は4~6インチ程度、タブレットは7~10インチ程度のものです。また、近頃は片手に余る少し大きめの端末が出回っておりますが、これはファブレットといいます。電話+タブレット(Phone + Tablet = Phablet)の機能をもちかつ少し大きめのものです。

(1)大きさはどの程度が良い?

  iPhone 6 Plus(Apple) Nexus 9(Android)
重 量 172g 425g(Wi-Fiモデル)
サイズ 158.1mm×77.8mm×7.1mm 228.25mm×153.68mm×7.95mm
画 面 5.5インチ 8.9インチ
上の表のとおり、最近は画面の大きいスマートデバイスが発売されており、画面が大きいため、資料の閲覧等に有効に活用できます。通帳の写真などであれば十分見ることはできます。せっかく撮影した写真もピンボケでは使い物になりませんので、撮ってすぐ大きな画面で確認できることは重要なポイントです。また、6インチ以上になると、女性や手の小さい方ですと片手での操作が難しくなることもありますので、実際に手に取って確認されたほうが良いでしょう。

(2)iPhone?それともAndroid?
スマートフォン初心者の方には、iPhoneをお勧めします。バックアップの仕組みなどを考えると、Android等と比べて扱いやすいからです。Android端末(GoogleのOS(基本ソフト)を使っている端末)は、構造を理解するのに時間がかかります。ただし、Android端末の場合は、iPhoneと比べて安価かつ種類が豊富なので、自分好みのものを見つけるには良いかもしれません。

また、AndroidにはNexusという端末がありますが、これはGoogleから発売されているもので、OSのアップデートについてはキャリア各社から発売されている他の端末よりも早く対応します。さらに無用なソフト、メニューが附属していないので、キャリア各社から発売されている他のスマートフォンよりもシンプルになっています。また、Nexusは SIM (*2)フリー端末なので、ソフトバンクモバイル、ドコモ、MVNO(*2)のSIMなどに対応しております。
*1 SIMカード(シムカード、Subscriber Identity Module Card):電話番号を特定するための固有のID番号が記録されたICカードのこと。携帯電話、スマートフォンなどには、ほとんどの機種において採用されている。
*2 MVNO:仮想移動通信事業者のことをいい、NTTやauから回線を借りてサービスを提供する事業者。

(3)SIMフリー端末は技適マークが必要!
注意して頂きたいのは、SIMフリー端末を海外から輸入するケースなどは、技適(特定無線設備の技術基準適合証明)を受けているか、この点は確認してから購入するように心がけましょう。技適を受けてない端末を使用することは通信法違反となる恐れがありますので、購入しないほうが良いでしょう。海外スマートフォンなどの流入を受けて、制限を緩和するような兆しがありましたが、現段階では海外旅行者のみ制限が緩和されています。
なお、iPhone・iPadは技適を受けているので、個人で輸入したものでも利用できます。

2.スマートフォンに携帯電話の機能は必要?

通話については、ガラケー(ガラパゴス携帯の略)でもかけ放題(定額制)を利用することができます。プランや機種の選択によって運用コストは違ってきますが、かけ放題だけを見てみると、キャリア各社一律に2,200円となっております。
スマートフォンにもかけ放題はありますが、ガラケーと比べると500円ほど高いです。このようなことから、音声通話とデータ通信を使い分けて利用するなどすれば、維持コストが削減できます。わずかな差ではありますが、事務所全体で見ればかなりの節約になります。
また、ガラケーの利点は何といっても、電池が長持ちすることです。
ガラケーとスマホを2台持ちすることは面倒ではありますが、2つの通信手段をもつことができる、というメリットでもあります。スマートフォンを持てば、災害時にSNS(*2)にメッセージを投稿したり、パケットを利用したVoIP(*3)での通話ができるので、万が一の際には安否確認などにも利用できるかもしれません。

*3 SNS(Social Networking Service):FacebookやTwitterなどの、インターネット上の交流の場のこと。
*4 VoIP(Voice over Internet Protocol):インターネットをつかって音声データを送信する仕組み。いわゆるIP電話といわれているもの。

3.SIMはどこのものを選ぶ?

データ通信については、スマートデバイスに格安なSIMカードを組み合わせて利用する方が増えてきています。MVNO業者の格安SIMカードでもドコモやauの回線を利用していますので、電波状態が著しく悪くなることはありません。契約回線によっては、一定の制限がある場合もありますが、データ量2G程度の契約であれば、メールの送信やデータの転送で使う分には十分でしょう。各社それなりの特色があり、SIMカードを3枚つかえるサービスもあるので、事務所内で共有することも可能です。
ただし、ソフトバンク、ドコモはSIMフリー端末に対応しているのですが、auについてはソフトバンク、ドコモとは通信形式が異なるので、auのスマートフォンにソフトバンクやドコモのSIMを差し替えても使用できませんので、この点は注意が必要です。ドコモとソフトバンクのスマートフォンでも、SIMロック解除機能を搭載しているものでなければ、他社製のSIMの差し替えはできません。

4.スケジュールの管理と共有

さて、実際の業務で活用する場合ですと、私の場合は専らスケジュール管理に利用しています。普段は事務所のパソコンでスケジュール管理をしているけれど、外出中でもスケジュール調整を行いたい場合などは、ちょっとした工夫で外部からの変更が可能となります。
私の場合は、以前はGoogleカレンダーを使用していましたが、同サービスの有料化に伴って無料の連動ソフトが使えなくなったので、Outlook.comのメールアカウントを用いてOutlook 2013と連動することでGoogleの依存体質から切り替えました。
Outlookのカレンダー機能を利用するには、まずOutlook.comのサイトから無料のアカウント(メールアドレス)を取得する必要があります。取得したアカウントはスケジュールの共有のために利用しています。取得したアカウントを事務所のパソコンやスマートフォンに設定する方法は、こちらをご確認下さい。なお、Outlook.comのアカウントはiPhoneでも使えるようです。
また、自分以外の人と共有する場合は、そのまま、アカウント情報を相手に伝えて同じように設定すれば、スケジュールの共有が可能となります。

5.スマートフォンで通帳をスキャンしてみよう!

ご存知の方も多くいらっしゃると思いますが、富士通のScanSnap iX100というスキャナは、リチウムバッテリーを搭載し、さらに、AndroidやiPhoneにも、Wi-Fi(注5)経由で無線接続できます。読み取りを制御できるアプリをインストールして設定をすれば、少し厚みのある通帳などもスキャニングできます。
クライアントに出向いた際に、必要な資料を直接収集することができるのでとても便利です。また、スマートフォンと接続できるので、重いノートパソコンを無理して持ち歩く必要もなくなります。

*5 Wi-Fi(Wireless Fidelity):無線LAN規格の一つ。

6.スマートフォンのカメラの活用

スキャナを持ち歩くほどの大量の資料をスキャニングしないときは、カメラで通帳などを撮影することも可能です。カメラの場合は、黒いマット(台紙)などを使うと、きれいに台形補正ができますので、携帯用に黒いマットを持ち歩くと良いかもしれません。
左図のように、黒いマットの上に領収書を複数並べて撮影しておき、後日DocuWorksのプラグインソフトであるE-cutを利用することで、複数の領収書を1枚の紙片に変換してこれを管理することもできます。PDFを利用している場合には、cut-Beというソフトが利用できます。
複数枚でなく通帳のように1ページ毎に撮影するには、コクヨのCamiAppとキングジムのSHOT DOCSというソフトがあります。両者ともiPhone、Androidに対応しています。
スマートフォンなどで撮影されたデータをパソコンと同期して、自動的に送信できる機能もあります。上述したCamiAppやSHOT DOCSも、デフォルトで同期の方法を選択できるようなっています。
同期ソフトには無料のものと有料のものがあります。また、単なる同期をとるだけのもの、履歴機能を備えたもの、ノート形式のものと、どれを選択するか悩ましいところもあります。
以下に知名度のあるものを列挙してみました。それぞれ異なった良さがあり、使い勝手もまちまちです。
DropBox ・EverNote ・Google+ ・OneDrive ・SugerSync
私の場合は、DropBoxとOneDriveを併用して、プライベート用、ビジネス用に分けて使用するようにしています。さらに、クライアントとのデータの共有も可能です。同期ソフトは奥が深いので、この説明は別の機会に譲りたいと思います。

7.領収書のスキャンとクラウドサービス利用

領収書のスキャンの方法を6.で紹介しましたが、これと趣を異にしたクラウドサービスを利用したサービスもあります。クラビスという会社のストリームド(STREAMED)というクラウドを利用した仕組みがあります。領収書をスキャンして、これを人力で一定の仕訳にしてくれるサービスを行っており、最近脚光を浴び始めています。丁度これに触れる機会があったのでご紹介します。
ストリームドは、まず領収書を、ScanSnap(4.を参照)を使用して読み取って画像化し、これをクラビス社へ送信すると、一定の仕訳を3営業日以内にCSVデータ(*6)や会計ソフトのデータとして返してくれるサービスを行っています。私の実験した環境では未完成のところもありましたが、会計ソフトへの取り込みはそれなりに可能でした。
現金出納帳をつけるのが面倒な顧客や、従業員の経費精算などに使う場合には意味のあるサービスが可能になるかもしれませんし、今後API(*7)などの開発でシームレス(*8)に会計ソフトへの接続でき、自動的に連動する可能性も秘めています。
4月以降に会計事務所向けのサービスを開始する予定ということなので、これからが楽しみです。

*6 API(Application Programming Interface):ソフトウェア間で他のプログラムを呼び出して利用する手順やデータ形式などを取り決めたインターフェースのこと。
*7 SVデータ:データをカンマなどで区切って並べたファイル形式で、汎用性が高く、マイクロソフトのエクセルなどから保存したり加工したりできるデータ形式のこと。
*8 シームレス:IT用語で、複数のサービスを切り替えることなく、統合して使用できること。

8.スマートデバイスのセキュリティについて

最後に、セキュリティについて、現在の私の環境をご紹介したいと思います。
パソコンにセキュリティソフトがあるように、スマートフォンなどにもセキュリティソフトがあります。無料のものもありますが、私はキャノンITソリューションズのイーセット ファミリー セキュリティ(ESET FAMIRY SECURITY)を利用しています。
このソフトでは、最大5台まで3年のライセンスで、Windows、Mac、Androidを問わずインストールができることです。設定したスマートフォンにSMSを送信することでリモートロックしたり、さらに、デバイスを紛失または盗難に遭った疑いがある場合には、インターネット経由でデバイスの追跡を開始し、定期的に写真やスクリーンショットを撮影することができ、スマートフォンを追跡することができます。詳細は製品ページをご覧ください。

9.番外編(Windowsタブレット)

スマートデバイスを紹介している雑誌などでは、Microsoft Windows 8.1で稼働しているSIMフリーの小型のタブレットがあまり紹介されていません。これは、Windows 8.1を搭載した製品が少ないためで、片手で余るほどなのです。
私が最近利用し始めたDELL Venue 8 ProというWindows 8.1を搭載したタブレットは、SIMフリー3G回線に対応しています。パソコンとして業務で使えるソフトもそのまま使えるのです。ただし、8インチと画面が小さいことや、容量が64G+SDカードの容量と少ないので、同期ソフトを利用する際は容量不足になる恐れがあるなど、使い方に工夫が必要なところもあります。
他にも、DELLとヤマダ電機が共同開発したEvery Pad Proという製品もあり、平成27年2月現在Windows 8.1搭載8インチタブレットでLTEが使えるものは同製品のみとなっています。
私も勘違いをしていたのですが、Windowsタブレットは、他のスマートデバイスと比べると移動中にちょっとした利用をしたい場合など使用には適していなく、机のないところで操作するには重苦しい気持ちになります。使い分けが必要かもしれません。

「業務で使える!税理士のためのIT入門」をアップしました。

スマートフォン・タブレットをお持ちで持て余している方はいませんか? この冊子は、東海税理士会情報システム委員会が製作したものをご厚意により掲載し ています。とてもわかりやすく、アイデアが満載の内容となっています。是非ご活用 ください。

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12年後のイーダくん -シナリオ未来の税理士事務所-(参考文献目録を更新しました

税理士向け電子申告入門マンガ「イーダくんがゆく!」の著者、東海税理士会三島支部の井原会員が電子申告の先にあるであろう業界の未来をイメージしたシナリオを書き下ろしてくださいました。このシナリオはIT新技術による、税理士業務の未来像を描いたものです。舞台の設定は、12年後(平成35年)の世界です。ここで紹介するXBRL-GLは、税理士の生産性と社会的な地位を劇的に向上させうるキラーアプリケーションです。この技術により変貌する、税理士の可能性を御覧ください。

「税理士のためのiPad講座 -税理士事務所ではこう使う-」(1月23日ミニセミナー)

本会情報システム委員会では、委員会開催日に、委員を講師とした会員・事務所職員向けミニセミナーを開催しています(Ustreamによるライブ配信も実施中)。今回のテーマは、前回に引き続きiPad、新型も登場し、ますます我々の生活に欠かせないものになってきました。

税理士のための まんがでわかる電子申告入門 イーダくんがゆく!

日税連情報システム委員会では、標題の電子申告まんが(東海税理士会三島支部作成)を、電子申告普及・推進のためのツールの一つとして使用しております。 電子申告の「入り口」について大変わかりやすく解説した内容となっておりますので、電子申告に 新たに取り組む際の手引きとして、また支部研修会でのテキストとして等、広くご利用ください。

「XBRL」をご存じですか?

e-Taxシステム等に使用されているXMLベースの言語で、電子申告をしている税理士なら、実は普段意識することなく接しているものです。

このXBRLに意外な問題点が潜んでいます。税理士として知っておくべきこと、そして税理士会として取り組むべきことを、ぜひ考えてみませんか。(本論文の抜粋が、会報「東京税理士会」平成22年10月号「論壇」に掲載されております。)

「情報通」バックナンバー

直近一年分の「情報通」(PDF)をご覧いただけます。

2003年からのバックナンバーはこちらからご覧下さい。

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  • フィンテック時代?のデータの取り扱い
2016年 7月号  
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  • 本会情報システム委員会と近畿税理士会情報化対策部との意見交換会開催報告
2016年 6月号  
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2016年 3月号  
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2015年 12月号  
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2015年 11月号  
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2015年 10月号  
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2015年 9月号  
  • 税理士情報フォーラム2015の開催について
  • 台湾での電子インボイスの状況と日本での導入可能性について